再 戸籍謄本の請求が簡単に、は本当なのか

よしむら行政書士事務所 行政書士の吉村です。
今回は本籍地以外の市区町村の役場窓口で戸籍謄本の取得ができるようになります、というお話です。

令和6年3月1日より開始されました!
以前のブログを加筆・修正したものをお届けします。


ネット上ではおおむね好評のようです。
本当にそうなのか。
行政書士の立場から考えてみます。

令和元年5月成立の改正戸籍法の施行日が決まりました

令和元年5月成立の改正戸籍法の施行日が令和6年3月1日施行、と決まりました。
これによって、令和6年3月1日より、本籍地以外の市区町村の窓口で戸籍証明書が取得できるようになりました。
お住まいや勤務先の最寄りの市区町村の窓口で取得することができるようになり、便利になりそうです。

戸籍謄本を取得するには(これまで)

戸籍謄本を取得するにはどうしたらいいのでしょうか?
本籍地のある市区町村の窓口に出向く、又は郵送による請求を行います。
住民課などが窓口であり、郵送請求先です。
大きな区や市だと郵送請求を専門に受け付けるセンターがあったりします。
郵送の場合、「定額小為替」というものを利用して料金を支払うことが一般的(ほとんど)です。
戸籍請求に必要な額面の「定額小為替」を郵便局で購入します。
ちなみに、郵便局の窓口は「金融部門」です。
大きめの郵便局で購入の際は気を付けましょう。
この「定額小為替」には手数料が発生します。
1枚200円です…。
以前は100円だったんですけどね…。

請求先との距離によりますが、1週間~2週間くらいで戸籍が送られてきます。
1つの請求先から送られたきた戸籍ではすべて揃わないことがあります。
例えば、結婚されて別の場所で戸籍が作られていたり。
そんな時は上記の作業を繰り返すことになります。

令和6年3月1日以降はどうなるのか

「戸籍証明書等の広域交付」という制度がスタートします。
本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍証明書・除籍証明書を請求できるようになります。
さらに、必要な戸籍の本籍地が全国各地にあったとしても、1か所の市区町村の窓口でまとめて請求できるそうです。
夢のような仕組みですね!

ちょっと待ってください

誰でも、どこまでも欲しい戸籍を請求できるわけではありません!

まず、請求できる人とその範囲が決められています。
広域交付で戸籍証明書等を請求できる範囲
・本人
・配偶者
・父母、祖父母など(直系尊属)
・子、孫など(直系卑属)
となっています。

兄弟姉妹や甥姪などは対象となっていません。

引用 法務省 戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)


その他にもこんなことに注意が必要です。
・戸籍証明書等を請求できる人が市区町村の戸籍担当窓口に出向いて請求する必要がある
・郵送や代理人による請求はできない
・紙で管理されている一部の戸籍や除籍は取得できない
・戸籍の附票や身分証明書などは取得できない

専門家は不要になるのか

個人的には不要にならないと思っています。
その理由は以下のとおりです。
①請求できる範囲が限られている
②戸籍は取得して終わりではない
③紙で管理されている戸籍・除籍は取得できないことがある
④取得に時間がかかる可能性がある


①請求できる範囲が限られている
私が受ける依頼で戸籍を扱うケースは限られます。
・遺言書作成
・相続手続き
の2つが主になります。
相続人が配偶者とその子どものみ、とか子どものみというようなケースだと使えますね。
一方、おひとり様だったり、お子さまがいらっしゃらない方だと相続人の範囲が広がります。
このケースだと最寄りの市区町村の窓口では完結しないこともあります。

②戸籍は取得して終わりではない
私たち専門家は戸籍を取得して終わりではありません。
その戸籍からいろいろな情報を読み取ります。

③紙で管理されている戸籍・除籍は取得できないことがある

紙で管理されている戸籍・除籍は取得できないことがあるようです。
そのため、高齢の方の相続手続きの場合、最寄りの市区町村の窓口では完結しない可能性があります。
また、手書きの戸籍は達筆すぎて読むのに時間がかかることが多々あります。

④取得に時間がかかる可能性がある
例えば、出生から死亡までの戸籍を請求した場合、何通にもなることが考えられます。
その場合、かなりの時間が必要となります。
受付時間によっては当日に受け取れない可能性もありそうです。

まとめ

①最寄りの市区町村の窓口で取得できるようになるのは令和6年3月1日から
※開始されました!
②請求できる人、請求できる範囲があることを忘れずに
③請求は最寄りの市区町村の窓口で(郵送、代理はダメ)
④必ずしも万能ではないことを頭に入れておく
⑤取得に時間がかかることがある
⑥複雑だったり、困った時は専門家に相談を

いかがでしょうか。
利用できる方にとっては時間と手間を減らすことができそうです。

自分では難しそうだとお悩みのときはお気軽にご相談ください。

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