相続土地国庫帰属制度をご存じですか?

よしむら行政書士事務所 行政書士の吉村です。
今日は「相続土地国庫帰属制度」についてです。

相続土地国庫帰属制度とは

「相続土地国庫帰属制度」とは、相続した利用しない土地を手放す制度のことです。
簡単にいうと、国に引き取ってもらう(帰属させる)制度となっています。
残念ながら、勝手に手放すことができるわけではありません。
申請できる人、土地の条件を満たし、国に承認され、負担金を納付しなければなりません。

申請できる人

申請できる人は、相続や遺贈(相続人に対する遺贈に限られます)によって土地の所有権を取得した相続人です。
相続登記が完了していない場合でも申請できますが、相続関係を証明しなければなりません。
土地が共有地である場合、共有者全員で申請しなければなりません。

帰属できない土地(申請できない土地)

①申請できない土地(申請の段階で直ちに却下されます)
・建物が建っている土地
・担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
・道路その他の他人によって使用が予定されている土地が含まれている土地
 道路、墓地内、境内地、水道用地、ため池など
・特定有害物質等により土壌が汚染されている土地
・境界が明らかではない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地
 新たに測量や境界確認書の提出までは求められません

②帰属の承認ができない土地(審査によって該当すると判断されると不承認となります)
・崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分な費用又は労力を要する土地
・土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
・除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
 産業廃棄物や建築資材、基礎が残っているなど
・隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分できない土地
・通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地

申請するためには

①事前調査
申請地についての必要書類を揃え、現地調査を行います。

②事前相談
申請地を管轄する法務局(本局)に事前相談をします。
あらかじめ予約が必要となります。

③申請書の作成・提出
申請書が完成したら提出しても問題ないかどうか事前相談することも可能です。
提出先は申請地を管轄する法務局の本局となります。

④審査

⑤承認・負担金の納付

⑥国庫帰属
所有権移転登記は国が行います。

よしむら行政書士事務所では、①事前調査、②事前相談、③申請書の作成についてお手伝いします。

申請方法

法務局本局の国庫帰属申請窓口での申請
郵送(書留郵便又はレターパックプラスによる)

申請は申請者本人又は法定代理人(未成年後見人・成年後見人等)が行います。

申請書の書類作成については、弁護士、司法書士、行政書士が行うことができます。
よしむら行政書士事務所では、事前調査、申請書作成を行っています。
まずは、事前調査から始めてみませんか?

審査期間と審査手数料

審査期間
申請から帰属の決定(却下、不承認の判断を含む。)までに半年から1年程度かかります。

審査手数料
土地一筆当たり14,000円
申請時に、収入印紙を貼って納付します。
※審査手数料は、申請の取り下げ、却下、不承認の場合でも返還されません。

承認された場合

国庫帰属が認められると、負担金の通知が送付されます。
到達後、30日以内に納付しなければなりません。
期間内に納付しない場合、国庫帰属の承認が失効してしまいます。

負担金とは

負担金とは、土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮したもので、10年分の土地管理費相当額です。
申請があった土地は、「宅地」「農地」「森林」「その他」の4種類に分けられます。
負担金の額を確認してから申請した方がよさそうです。

①宅地
原則:20万円(面積にかかわらない)
例外:都市計画法の市街化区域又は用途区域が指定されている地域内の土地は、面積によって算定されます。
   ※1,000円未満は切り捨て

面積区分負担金額
50㎡以下国庫帰属地の面積に4,070(円/㎡)を乗じ、208,000円を加えた額50㎡
→411,000円
50㎡超
100㎡以下
国庫帰属地の面積に2,720(円/㎡)を乗じ、276,000円を加えた額100㎡
→548,000円
100㎡超
200㎡以下
国庫帰属地の面積に2,450(円/㎡)を乗じ、303,000円を加えた額200㎡
→793,000円
200㎡超
400㎡以下
国庫帰属地の面積に2,250(円/㎡)を乗じ、343,000円を加えた額400㎡
→1,243,000円
400㎡超
800㎡以下
国庫帰属地の面積に2,110(円/㎡)を乗じ、399,000円を加えた額800㎡
→2,087,000円
800㎡超国庫帰属地の面積に2,010(円/㎡)を乗じ、479,000円を加えた額1,000㎡
→2,489,000円

②田・畑
原則:20万円(面積にかかわらない)
例外:主に農用地として利用されている土地のうち、次のア~ウの農地は、面積によって算定されます。
   ※1,000円未満は切り捨て
   ア 都市計画法の市街化区域又は用途地域が指定されている地域内の農地
   イ 農業振興地域の整備に関する法律の農用地域内の農地
   ウ 土地改良事業等の施行区域内の農地

面積区分負担金額
250㎡以下国庫帰属地の面積に1,210(円/㎡)を乗じ、208,000円を加えた額250㎡
→510,000円
250㎡超
500㎡以下
国庫帰属地の面積に850(円/㎡)を乗じ、298,000円を加えた額500㎡
→723,000円
500㎡超
1,000㎡以下
国庫帰属地の面積に810(円/㎡)を乗じ、318,000円を加えた額1,000㎡
→1,128,000円
1,000㎡超
2,000㎡以下
国庫帰属地の面積に740(円/㎡)を乗じ、388,000円を加えた額2,000㎡
→1,868,000円
2,000㎡超
4,000㎡以下
国庫帰属地の面積に650(円/㎡)を乗じ、568,000円を加えた額4,000㎡
→3,168,000円
4,000㎡超国庫帰属地の面積に640(円/㎡)を乗じ、608,000円を加えた額5,000㎡
→3,808,000円

③森林
面積によって算定されます。※1,000円以下は切り捨て

面積区分負担金額
750㎡以下国庫帰属地の面積に59(円/㎡)を乗じ、210,000円を加えた額750㎡
→254,000円
750㎡超
1,500㎡以下
国庫帰属地の面積に24(円/㎡)を乗じ、237,000円を加えた額1,500㎡
→273,000円
1,500㎡超
3,000㎡以下
国庫帰属地の面積に17(円/㎡)を乗じ、248,000円を加えた額3,000㎡
→299,000円
3,000㎡超
6,000㎡以下
国庫帰属地の面積に12(円/㎡)を乗じ、263,000円を加えた額6,000㎡
→335,000円
6,000㎡超
12,000㎡以下
国庫帰属地の面積に8(円/㎡)を乗じ、287,000円を加えた額12,000㎡
→383,000円
12,000㎡超国庫帰属地の面積に6(円/㎡)を乗じ、311,000円を加えた額50,000㎡
→611,000円

④その他(雑種地、原野等)
20万円(面積にかかわらない)

まとめ

相続土地国庫帰属制度についてのまとめです。
①相続した人、遺贈された相続人が申請できる
②共有の場合は、共同で申請する
③帰属できる土地には条件がある
 更地である、地下に埋設物がない、崖ではない、境界について争いがない、抵当権などがついていない、など。
④負担金を支払わなければならない
⑤申請書類の作成は弁護士、司法書士、行政書士に依頼できる

相続した土地の処分にお困りで国庫帰属をお考えの方は、まず帰属可能かどうかの事前調査をおすすめします。
よしむら行政書士事務所では、事前調査、法務局への事前相談、申請書の作成を行っております。
お気軽にご相談ください。

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